今、当画廊に二瓶博厚氏の描いた作品「同潤会建築に思いをはせる」が掛かっている。実に不思議な面白い作品である。
画面の中にいろいろな情景が点在し混在しているのだ。緑の中に埋もれた代官山アパート、並木の大通りに面した青山アパート(表参道にあった)、アールデコ風のらせん階段、角隠しをした花嫁、屋上で遊ぶ少年たち、お祭り、盆踊りの風景など。
建築家として長年多くの建築の設計を手がけてきた二瓶氏の、建築家としての思いと視点がこの作品に結晶しているように思われる。建築家として普通にエスキースとしてペンか鉛筆により完成させる手法もあり得たであろうが、彼は日本画の顔彩を用いて、一枚の絵にこんなに盛り込んだところに、彼の思いの巡るさまが分かり感動を呼ぶ。
彼は昨年5月に、竹中工務店東京本店の一階「ギャラリーエークワッド」で開催されていた「同潤会の16の試み」展を見て感銘を受けたことが、この作品のきっかけになったこと、制作に際し、同展示会パンフレット、兼平雄樹氏撮影の写真を参考にされたことを、二瓶さんご自身がお書きになっている。
その一文は、広島のマンション管理会社合人会の月刊紙「ウエンディ」に掲載されていると教えていただいて、同社から送っていただいた。
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