2016年7月11日月曜日

Sさんの墓参に

 二瓶博厚個展が終って一段落したころ、NYに行った。
10日間の滞在期間の第一の目的は、永年親しくしていたスイスのコレクター、S氏のお墓参りであった。
 カナダで精神科の医師をしている娘さんに連絡をとり、墓地の場所を教えてもらって、電車とバスを乗り継いで出かけた。クイーンズとブルツクリン地区の間にある広大な公園の一角にそのユダヤ人たちの墓地はあった。
  ウイークデーの午後のせいか、墓地は人影もなくシーンと静まり、高い木々の緑に染まった梢が、さわやかな風に揺れていた。
真新しい墓石はかなり大きく私の背丈ほどもあり、一昨年NYで亡くなった妹と、1941年に亡くなったという父親の墓と並んでいる。その白いみかげ石に刻まれた“Loved by his Family and Friends”という言葉に、やさしかった在りし日が偲ばれてチョッピリ涙が出た。
彼の亡くなった日付が墓石に刻まれている。見るとそれは2015630日、なんと私はちょうど1年後、1周忌に彼の墓前を訪れているのだ。それは全く偶然だったが、なにかに不思議な巡り会わせを感じたのであった。
聖書の中で、モーゼは120歳まで生きたとある。そのときまだモーゼは目もかすまず、気力も衰えていなかった―という言葉に私はとても感動を覚えている。S氏もモーゼを越えて生きなくて良かった.......そして私はといえば、最近目がかすみ始め、気力は十分あるのに体力が低下している現象を日々経験するようになっている….
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