彫刻家、安田侃は1945年北海道美唄市生れ。現在、大理石産地として名高い北イタリアのピエトロサンタに、1973年以降アトリエを持ち制作に励んでいると聞く。
ニューヨークのクリスティーズに行ったら、いきなり遠くからでもひと目で安田侃と分かる彫刻が玄関前にドカーンと置かれていて、とても人目を引く。ちょうどクリスティーズは
安田侃彫刻展を開催していて、中に入ると大きな部屋にゆったり作品が展示され、気持ちよい空間をつくっている。自然の中にその彫刻を思い浮かべると、草原の中に産み落とされた巨大な野鳥の卵のようだ
数々の賞を国内外で受賞され輝かしいキャリアの持ち主であるご本人にお会いしたことはないので、「彫刻家はときどきいらっしゃるの?」と聞くと、「毎日一度顔を出すわよ」と
言われ、期待したが、残念ながらお会いする機会はなかった。
クリスティーズは、中国オークションの開催中でもあったが、プライベートセールということだった。イサムノグチに次いで、安田侃も今や世界的アーテストと認め、世界のコレクターに売ろうとしている世界最大のオークシオンハウスが目をつけ始めた。